春のツーリング前に必読!冬眠明けのバイク点検&装備チェック完全マニュアル

冬の間、ガレージやカバーの下でじっと春を待っていた愛車。気温が上がり、ツーリング日和が増えてくると、いよいよバイクを走らせたくなりますよね。しかし、長期間乗っていなかったバイクは、すぐに走り出せる状態とは限りません。エンジンがかからない、タイヤの空気圧が下がっている、オイルの劣化など、冬眠明けならではのチェックポイントがいくつもあります。
さらに、バイクだけでなくライダーの装備も重要です。ヘルメットの劣化、グローブの硬化、プロテクターの状態などを確認しないまま走り出すと、思わぬトラブルにつながることも。
今回は、冬眠明けのバイクを安全に目覚めさせるための準備とチェック項目を詳しく解説します。
 (31752)

冬眠明けのバイクを走らせる前にチェックすべきポイント

まずはバイクの点検ポイントをご紹介します。冬眠前にしっかり整備していた場合は、そこまで神経質になる必要はありませんが、整備せずに保管していた場合は、各所をしっかりチェックしてから走り出すようにしましょう!

1. バッテリーの状態を確認する

 (31739)

長期間乗らずにいたバイクのバッテリーは、自然に放電して電圧が下がっている可能性が高いです。下記のポイントを確認しましょう。

・電圧が十分あるか(12.6V以上が理想)
テスターを使用しチェックします。電圧は12.6V以上が理想的。12V以下の場合は充電が必要です。

・セルが弱々しく回る場合は充電 or 交換
エンジンをかける際にセルモーターが弱々しく回る場合、バッテリーが弱っているので、充電または交換を検討してください。一般的なバッテリーの寿命の目安は、走行距離が約5万km前後、または使用年数が約2~3年です。

・バッテリー端子の腐食がないか
バッテリー端子に腐食(白い粉状の物質)が見られないか確認します。腐食がある場合は、真鍮ブラシなどで清掃しましょう。

2. オイル・冷却水のチェック

 (31740)

冬季にバイクを放置すると、結露などでオイルや冷却水が劣化することがあります。また、冬眠前に交換を行わなかった場合は交換してから走りだすことをオススメします。

・エンジンオイル:劣化している場合は交換を推奨。オイルレベルも確認する。
色が黒く汚れていたり、粘度が低下している場合は交換をしたほうが良いでしょう。オイル量もバイクを垂直に立てた状態で確認し、適正なレベルに調整します。

・冷却水(ラジエーター液):量が減っていないか、変色・濁りがないかを確認。
量が減っていないか、液が濁ったり、変色していないかを確認します。冷却水の劣化はエンジンの冷却効率低下につながるため、必要に応じて交換または補充しましょう。

3. タイヤの空気圧・劣化をチェック

 (31741)

タイヤの状態は安全な走行に直結するため、下記を重点的に確認しましょう。

・空気圧:長期間放置で空気が抜けやすいため、指定値に調整。
バイクの取り扱い説明書またはスイングアーム付近に貼られたステッカーで指定された空気圧を確認し、適正値に調整します。放置期間が長いと空気圧が低下しやすく、そのままの走行はパンクやバーストの原因になります。

・ヒビや硬化:タイヤのゴムが劣化していないかを目視で確認。
タイヤの表面にヒビ割れ、硬化、または極端な摩耗がないか目視でチェックします。異常が見られた場合は、安全のため新品タイヤへの交換を検討しましょう。

4. 燃料の状態を確認する

 (31742)

一冬越したくらいでは通常問題ありませんが、ガソリンは、長期間放置すると変質しやすく、エンジンの不調の原因となります。不安な場合は次の項目を点検しましょう。

・ガソリンの劣化
タンク内を目視確認し、ガソリンに異臭(古い油のような臭い)や変色がある場合は、新しい燃料と交換してください。冬眠明けは水抜き剤の入った燃料添加剤を使用するのも良いでしょう。

・キャブレター車の場合:詰まりが発生していないかもチェック。
エンジンのかかりが悪い場合、燃料がキャブレター内で固まり、詰まっていることがあります。キャブレター内の詰まりが疑われる場合はバイク店での清掃をおすすめします。

5. ブレーキまわりの点検

 (31743)

安全なライディングに欠かせないブレーキは、念入りにチェックしましょう。

・ブレーキフルードの劣化
フルードの色が濃くなっていたり、量が減っている場合は交換が必要です。交換時期の目安は、走行距離にして1万~2万㎞、期間にして1年~2年程度です。

・ブレーキパッドの残量
残量が十分かどうかを目視で確認します。パッドが著しく減っている場合は、ブレーキ性能が低下し危険ですので、早めの交換を行いましょう。

6. チェーン・駆動系の状態確認

 (31744)

チェーンや駆動系の状態は走行性能と安全性に影響します。以下の点検を行います。

・チェーンのたるみ・サビの有無
チェーンに錆びがないか、たるみが適切かどうかを確認します。必要に応じてチェーンの張りを調整し、チェーンルブ(潤滑剤)を塗布します。

・スプロケットの摩耗状態
チェーンとともにスプロケット(歯車)の摩耗状態をチェックします。スプロケットが尖ったり変形している場合は交換が必要です。

ライディングギアの点検も忘れずに!

バイクが万全でも、ライダーの装備が劣化していては安全性が損なわれます。車体と共に状態をチェックして、必要があればメンテ、交換しましょう。

1. ヘルメットの状態を確認

 (31745)

・シールドの状態
シールドの曇りや傷は視界を妨げ、安全走行に支障をきたします。傷が深い場合はシールド交換を検討しましょう。

・内装の劣化(ヘタリや加水分解)
肌に触れる部分が劣化している場合、快適性や安全性が低下するため、内装の交換かヘルメット自体の交換を考えましょう。

・推奨交換時期を確認(使用開始から3年が目安)
使用開始から3年以上経過している場合、安全性確保のため交換が推奨されています。
あごひもや内装にほつれや擦り切れが見られる場合や、内装のウレタンがへたり、ヘルメットがゆるく感じるようになっていたら交換したほうが良いでしょう。

2. グローブ・プロテクター・ウェア類のチェック

 (31747)

・レザー製品の硬化・ヒビ割れ
レザー製品の硬化やヒビ割れは、安全性を大きく低下させます。特に縫い目の裂けや劣化がないか入念にチェックします。必要な場合は革専用のオイルやクリームを塗布して本来のしなやかさを取り戻してから使用しましょう。

・ウェア類の防水性が低下していないか
ウェアやグローブの防水性能が低下していると、雨天時のライディングで安全性が損なわれます。防水性能が落ちている場合は撥水スプレーを使用したり、交換も検討しましょう。

・プロテクターの状態・位置のチェック
プロテクターの劣化状態を確認し、正しく機能するかチェックします。プロテクターの素材は、ポリウレタンなどでできており、経年劣化は避けられません。加水分解、熱、 紫外線などで劣化するため、使用開始から3年を目安に交換すると良いでしょう。
また、体形の変化などで、正しい位置に取り付けられなくなってないかもチェックしましょう。

3. ブーツ・ライディングシューズの劣化チェック

 (31746)

・ソールのすり減り
ソール(靴底)のすり減りが激しいと、路面でのグリップ性能が落ちます。ソールが著しくすり減っている場合は、ソールを交換するか、買い替えましょう。

・防水性・靴紐の状態
防水性能や靴紐、ファスナーの破損がないかも確認しましょう。雨天時の浸水や走行中の脱げ防止のため、問題があれば早めに対処しましょう。

まとめ

冬眠明けのバイクは、一見問題がないように見えても、長期間の放置によって思わぬトラブルが潜んでいることがあります。事前のチェックをしっかり行い、安全な状態で新しいシーズンを迎えましょう。
また、バイクだけでなく、装備の点検も忘れずに。ヘルメットやグローブの劣化は、ライダー自身の安全に直結する重要なポイントです。
春のツーリングを存分に楽しむためにも、しっかり準備して最高のライディングシーズンを迎えましょう!