バイクに乗ると脳が活性化するって本当?

バイクで遊ぶ
バイク乗りには、見た目が実年齢より若かったり、仕事や私生活が充実していたりする人が多いですよね。「バイクが人をワイルドにさせる」というと大げさですが、実はバイクに乗ると脳が活性化されるということは過去の研究で証明されているんです!今回は、2009年に発表されたバイクにまつわる興味深い研究の概要をご紹介します。

バイクに乗ると脳が活性化する?

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ヤマハ発動機とともに「二輪車乗車と脳の活性化の関係」を研究したのは、東北大学加齢医学研究所の川島隆太教授。川島教授は2000年代にヒットした「脳を鍛える大人のDSトレーニング」の監修を務めた人物であり、私生活ではバイク好きとしても知られています。

さまざまな状況のコースを運転して脳の活動を計測するという実験は、車体に積載する機器が大型であることから、バイクでは不可能とされてきました。この実験では、日立製作所基礎研究所が開発した最新型の計測器を使うことで、バイクの運転で脳が働くことを世界で初めて検証したのです。用意されたコースは、連続コーナーや悪路、勾配、ヘアピンなど、注意力や運転技術を要するもの。いったいどのようなデータが採取できたのでしょうか。

現役ライダーとブランクのあるライダーの脳の活動を比較

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実験でバイクを運転したのは、中型免許以上を持つ現役ライダー11名(平均年齢 45.4歳)と、免許は所持しているものの10年以上ブランクがある元ライダー10名(平均年齢 46.2歳)の計21人。実際にコースを走行して集めたデータを解析すると、現役ライダーと元ライダーでは、脳の使い方が対照的であることが明らかになりました。

現役ライダーは感覚的に、ブランクのあるライダーは注意深く運転するイメージですが、脳の活動を分析すると、実際はその逆。日ごろバイクを運転している現役ライダーは、運転時に脳(左半球前頭前野)が活性化し、論理的に情報を処理しながら運転しているのに対し、ブランクのあるライダーはESP(超感覚的知覚)と呼ばれるいわば直感のようなものでバイクを運転していることがわかったのです。

バイクの運転とメンタルヘルスの関係

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日常的なバイクの運転で活性化する前頭前野は人間の脳の中でも極めて重要な部分。”脳の司令塔”とも呼ばれる領域で「記憶力」「集中力」「感情制御」「意欲向上」などをメンタルにも関係する思考を司っています。

前述の実験後に行われた「自動二輪運転の生活習慣が脳機能に与える影響」を調べる実験では、10年以上のブランクがある元ライダーに、2か月の間通勤などの生活場面でバイクを使用させました。その結果、バイクを生活の中で使用すると、記憶力や空間認識力をはじめ、さまざまな認知機能が向上することがわかったのです。被験者からは、バイクに乗ることで体調がよくなったり、ミスが減ったりなどメンタルの快調も報告されました。

結論……バイクは脳と心を豊かにする!

川島教授は、自動車の運転で脳が活性化されるのは「踏み切りを通過するときか、急に人が飛び出してきたときくらい」であるとし、自動車を運転するよりバイクに乗った方が脳を活性化できることを強調しました。バイクに乗ると脳と心にポジティブな影響があることは科学的に証明されているので、ライダーの皆さんは今後もバイクで安全運転を続けて、人生を豊かにしていってくださいね。