<NEWモデルインプレ> ついに発売! Ninja ZX-4R/RR!

バイクで遊ぶ
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Kawasaki ZX-4RR/ZX-4R SE
左からZX-4RR、ZX-4R SE、ZX-4R SE
現行モデルの中では、唯一の4気筒エンジンを持つ400ccモデルとして、カワサキNinja ZX-4RR/ZX-4R SEが発売されました。2020年に発売されたNinja ZX-25Rに続く、250/400とも普通免許枠で唯一の4気筒エンジンモデルです。
7月15日に発売されたZX-4RR/4R SEは、新設計の4気筒エンジンを、ZX-25Rをベースとした車体に搭載するスーパースポーツ。カワサキは、このモデルをヤング層のライダーとともに、リターン層や、40歳50歳といったベテラン向けに企画したニューモデルです。

ZX-4シリーズは2機種のラインアップ。ベーシックモデルはZX-4R SEで、リアサスにSHOWA BFRCを採用したハイグレードモデルがZX-4RR。それぞれのバージョン独自の装備は以下のとおりになります。
☆ZX-4R SE
 スモークスクリーン
 USB電源ソケット
 フレームスライダー
☆ZX-4RR
 SHOWA BFRC-Lite リアサスペンション
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ZX-4RR KRTエディション
ライムグリーン×エボニー
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ZX-4R SE
キャンディプラズマブルー×メタリックフラットスパークブラック
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ZX-4R SE
メタリックフラットスパークブラック
×メタリックマットグラフェンスチールグレー
ZX-4R/RRの注目はやはりエンジン。実に久しぶりの4気筒400ccは、新開発の水冷4気筒DOHC4バルブ。最高出力はなんと77psを1万4500回転で発揮、最大トルクは4.01kg-mを1万3000回転で発揮します。
この最高出力は1980~90年代に「自主規制」されていた400cc=59PSまでという数字を軽く上回り、当時の750ccの自主規制値である77psと同一! まさに750ccのパワーを400ccサイズのボディに搭載したモデルと言えます。さらにカウル中央にセットされたセンターラムエアシステムを採用し、ラムエア加給が効く高回転時には実測80psをマークします。

4シリンダーのボア×ストロークは57×39.1mm。これは1989年から99年まで販売されていたZXR400/400Rと同数値で、ZXR400の最高出力が自主規制値59ps/12000rpm、最大トルクが3.6kg-m/10000rpmだったのに対し、ZX-4は77ps/14500rpm(ラムエア加圧時80ps/14500rpm)、最大トルクは4.0kg-m/13000rpmです。
最高出力は、規制のかかっていたZXRが59psですが、注目すべきは大幅に力強くなっている最大トルクでしょう。おそらく最高出力は、当時もし自主規制値がなければ70psほどと言われていましたから、これが約30年間分の技術的進化と言えそうです。
さらにZX-4R/RRには、ZXR時代に実現していなかったフューエルインジェクション燃料供給となっており、さらに電子制御技術が一般化したことで、スポーツ/ロード/レインという3種のパワーモード切替え機能、トラクションコントロール、クイックシフターも採用されています。
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フレームはNinja ZX-25RをベースにディメンションやサスペンションセッティングをZX-4R用に専用設計 エンジンは新設計の水冷並列4気筒DOHC4バルブだ
車体関係では、まずベースフレームをZX-25Rと共用。重心位置やスイングアームピボット位置、エンジン搭載位置やキャスター/トレール値は、カワサキのワールドスーパーバイクマシン、Ninja ZX-10Rの思想が継承されています。
サスペンションは、フロントフォークに400ccモデルに初めて採用されたSHOWA製のSFF-BPフォークを採用。これはセパレート・ファンクション・フロントフォーク-ビッグ・ピストンの略で、フォーク内の大径ダンピングピストン(=ビッグピストン)によりスムーズな動きと、ブレーキング時の高い安定性を発揮。
リアサスはZX-10Rと同じレイアウトのホリゾンタルバックリンク式を採用。ZX-4RRにはサスペンション本体もZX-10Rとほぼ同等のSHOWA製BFRC-liteユニットを採用。BFRCはバランス・フリー・リア・クッションの略で、これもサスペンションの初期動きのスムーズさと、安定した減衰力発生を可能にするもの。プリロードと伸/圧側減衰力調整機構つきのハイグレードサスペンションです。
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4RRと4R SEのリアサスの違い 4RRのみ圧側/伸び側減衰力調整機構がつく
そして、7月12-13日には、千葉県・袖ケ浦フォレストレースウェイで、国内のメディア向けの試乗会が行なわれました。用意されたのはほぼZX-4RRで、ZX-4R SEは軽い試乗のみ。カワサキとしてもZX-4RRのサーキットポテンシャルを味わってほしい、との思いからのイベントだったようです。
試乗した印象は、とにかくこのZX-4RRが、想像以上に「スーパースポーツ」だったことです。注目のエンジンは1万6000rpmがレブリミットで、12000rpmあたりからがもっとも力がある回転域。400ccとしてはかなりの高回転型ですが、とはいえ8000rpmあたりの中回転域もトルクがあり、このあたりが80~90年代の400cc4気筒モデルとはモノが違います。

ハンドリングはかなり感銘を受けました。まずはまるで調整なしの状態でコースインしたのですが、まず直進安定性がぴたりと出ていて、バンクスピードがシャープすぎず、バンク時の安定性もかなり高いキャラクター。これは、サーキット経験者ではない層がスポーツランをするときに恐怖感や持て余し感がないように設定されている感がありました。
しかし、走行を続けるうちに、カワサキの技術スタッフの方が「うちのサーキットランの推奨セッティングがあるのですが」ということで、リアサスの減衰力を調整してみてコースイン。内容はまずリアサスの圧側減衰力をかけて行く方向で、その他はノータッチ。無段階の調整箇所を、ほんの数回転イジっただけでした。
すると、まずはバンクスピードがシャープになる方向で、バンクしたときのリアタイヤの接地感、トラクション感が上がった感じ。無セッティング時よりも明らかにスピードが上がった感じで、より不安なくアクセルを開けて行ける車体に仕上がっていました。たった数回転の調整でハッキリと違いを体感できることこそ、ハイグレードサスの証です。
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写真提供/カワサキ
スーパースポーツの本流と言えば、やはり各メーカーが注力、ワールドスーパースポーツ選手権にも出場している1000cc。けれど1000ccスーパースポーツといえば、200psオーバー、最高速度300km/hの世界。とても扱えない、とスポーツ走行を楽しむなら600cc――と言われてきましたが、その600ccだって充分にパワフルで、1000ccよりもマシだとはいえ、そうそう楽しめるほどではない。
だから400ccがジャストなのかも――というのもカワサキの思いなのかもしれません。しかも、それがビギナー向けかと言われれば決してそうではなく、ベテランでも楽しめるし、もっと突き詰めれば上級者だって楽しめるイジリ代も残してあるようです。

久々の4気筒400ccということで、もちろん史上最強の400ccだけれど、決して気難しくない、しかもイージーすぎないスーパースポーツ。250ccより、600ccより気持ちいスポーツバイクに仕上がっているようです。
以上、各メーカーのカスタムパーツの販売が待ち遠しいNEWモデルの紹介でした!
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写真提供/カワサキ
主要諸元
ZX-4RR <ZX-4 SE>
■エンジン:水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ ■ボア×ストローク(排気量):57×39.1mm(399cc)
■最高出力:77ps/14500rpm(ラム加圧時80ps/14500rpm) ■最大トルク:4.0kg-m/13000rpm ■全長×全幅×全高:1990×765×1110mm ■ホイールベース:1380mm ■シート高:800mm ■キャスター・トレール:23.5°/97mm ■タイヤ前・後:120/70ZR17・160/60ZR17 ■車両重量:ZX-4RR/189kg ZX-4R SE/190kg ■価格:ZX-4RR KRTエディション/115万5000円 ZX-4R SE/112万2000円

詳細→https://www.kawasaki-motors.com/mc/lineup/ninjazx-4r/