<全日本ロードレース> J-GP3クラス、王者・尾野の風格

バイクで遊ぶ
全日本ロードレース、第4戦・筑波大会が開催されました。
筑波大会はコース環境の問題から、軽量級J-GP3クラスのみの開催で
MFJカップ格式のJP250クラスも併催されます。
23年シーズン、3戦目となるJ-GP3クラスで
王者・尾野弘樹の強さが際立った一戦になりました。
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J-GP3クラス
オープニングラップから先頭に出る#1尾野選手
J-GP3クラスの絶対王者、尾野選手
金曜、土曜にフリー走行、日曜に予選/決勝を行なう1Day制で開催された筑波大会。ちょうど梅雨の中休み、真夏を思わせる天候での開催となり、たくさんのお客さんが来場されていました。
最初に行なわれたJ-GP3クラスは、公式予選で現チャンピオンの尾野弘樹選手(P.MU 7C GALESPEED)がポールポジションを獲得。2番手に少数派のKTM RC250Rに乗る女性ライダー、高杉奈緒子選手(TEAM NAOKO KTM)、3番手に木内尚汰選手(チームPLUS ONE)がつけ、これがフロントロウの3人。
2列目には19歳の大和颯選手(BREASTO B-TRIBEレーシング)、17歳の上江洲葵要選手(P.MU 7C GALESPEED)、18歳の武中駿選手(BREASTO B-TRIBEレーシング)というティーンエイジャーが続き、ポールポジションから13人が1秒以内にひしめくという大混戦となりました。
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J-GP3クラス
ポールポジションを獲得した尾野選手
決勝レースでは、ポールシッターの尾野選手が好スタートを切り、後方に木内選手、高杉選手、上江洲選手、武中選手、大和選手、森俊也選手(チームPLUS ONE)がトップグループを形成。この中からトップを走る尾野選手の背後に木内選手がつけ、その後方に大和選手と高杉選手が食らいつきます。
レースは中盤に差し掛かり、2番手を走っていた木内選手が尾野選手をパス。しかし、すぐに尾野選手も抜き返し、再び尾野選手→木内選手というオーダー。すると、高杉選手が1コーナーで転倒し、レースは赤旗中断。残り14周で再スタートすることになりました。
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J-GP3クラス
#1尾野選手を追う#3木内選手 後方に#11大和選手、#6高杉選手
レース2となったスタートでも尾野選手が好スタートを見せ、またも木内選手、大和選手、そして若松怜選手(日本郵便ホンダドリームTP)がトップ争いの集団を形成しますが、ここで木内選手がスリップダウン。これで、木内選手の後方にいた若松選手が一瞬遅れ、トップ争いは尾野選手と大和選手の一騎打ち、少し離れて若松選手、という順となります。
大和選手は何度も尾野選手に並びかけますが、抜くまでには至らず、尾野選手が大和選手を完全に封じ込めての優勝! これで尾野選手は開幕戦もてぎ大会、第3戦SUGO大会に続く3連勝(第2戦はJSB1000クラスのみの開催)を決め、ランキングトップの座をキープしました。
2番手でゴールした大和選手は、レース中に黄旗区間追い越しをしたことでペナルティとなり、2位に若松選手が繰り上がり、3位には特別参加枠の中学3年生ライダー、池上聖竜選手(TN45 with MotoUPレーシング)が入り、ポイントランキングでは若松選手が2位、鹿児島県から全国を転戦する彌榮郡選手(みえ・ぐん マルマエwith Club PARIS)が3位につけています。
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J-GP3クラス
赤旗中断後の再開でも好スタートを見せる#1尾野選手
「レース1では木内選手、レース2では大和選手がずっと後ろにいたのは分かっていたし、いつどこで抜かれるか、抜かれたら抜き返そう、という戦略で走っていました。木内選手、大和選手とも僕の履いているタイヤと銘柄が違うので(注:尾野選手はダンロップ、木内選手と大和選手はブリヂストン)走行ラインも速い区間や遅い区間が違ってやりにくかった。自分でもよく抑えたと思います。実は今まで筑波サーキットで勝ったことがなかったので、初優勝できてうれしいです」(尾野選手)
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J-GP3クラス
開幕3連勝を飾った尾野選手 ランキングもフルポイントでトップ
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JP250クラスは勢力図に変化
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JP250クラス
#97荻原選手がホールショットを獲得、#95千田選手が後方につける
最終レースとなったのは、市販250ccスポーツモデルをベースに戦うJP250クラス。筑波サーキットは、地方選手権としてもJP250やCBR250Rドリームカップが盛んなコースということもあって、30台もの大量エントリー。しかも、これまでホンダCBR250RRが大半を占めていた参加マシンが、ヤマハYZF-R3やKTM RC390も増えたことで、マシンのバラエティも増えてきました。

午前に行なわれた公式予選では、ここまで開幕戦もてぎ大会と第3戦SUGO大会の国際ライセンスクラスを連勝している荻原羚大選手(おぎわら・りょうた:CBR・ベスラレーシングTEC2&YSS)がポールポジションを獲得。2番手には、同じく2連勝で筑波大会を迎えた国際ライセンスの千田俊樹選手(CBR・SDG N-PLANレーシング)がつけ、3番手にヤマハYZF-R3をライディングする高橋巧選手(bLUcLU NORICK&ランクアップレーシング)、4番手に飯高新悟選手(CBR・KIJIMA KISSレーシング)が入りました。
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JP250クラス
30台ものエントリーが集まったJP250クラス
決勝レースでは、ここまでの2レースでクラス優勝を果たしている同士の荻原選手vs千田選手が注目されるなか、荻原選手のホールショットでスタート。当然のように千田選手が背後につけ、高橋選手、飯田選手に続き、KTM RC390をライディングする小室旭選手(サニーモトKTM JP250)もトップ集団へ。しかし、3周目の第2ヘアピンで千田選手が転倒すると、荻原選手が2番手以下を引き離す独走状態へ。
注目されたのは荻原選手を追う2番手争いとなりますが、高橋選手と飯高選手のうちスタートでやや出遅れていた飯高選手がペースを上げ、高橋選手をパスして2番手へ。
15周で行なわれるJP250ですが、12周目に多重クラッシュがおこり、レースは赤旗中断から、規定周回数をクリアしていることでレース成立となり、14歳の荻原選手、13歳の飯高選手、15歳の高橋選手の順でフィニッシュ。この3人は国内ライセンスクラスのライダーで、総合のトップ3を国内ライセンスのライダーが占めたのは初めてのこととなりました。
総合4位以下に小室選手、オーストラリア人ライダーのアクス・タイヨー選手(bLUcLUチームJP ドッグファイトレーシング)、中沢寿寛選手(iファクトリー&Mガレージ)、加藤祐樹選手(ガレージL8&スガテック)となり、国際ライセンスクラスは小室選手、中沢選手、加藤選手が表彰台に登壇したレースとなりました。
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JP250クラス
トップ争いの後方では5番手争いの大集団 JP250クラスらしいバトルです
「決勝レースでは、僕と同じく今シーズンからJP250で走る千田選手をマークしていて、ずっと後ろにつかれていたのは分かっていたんですが、途中から音が聞こえなくなって、ミスして後方に下がったのかな、と思っていたんです。千田選手はST600で走っていたシーズンもあって、上手いなぁ、と勉強することも多い。今年はアジアタレントカップのオーディションも合格したので、この先はタレントカップでも上位を走れるようにトレーニングしていきたい」(荻原選手)

これまで大多数を占めていたCBR以外のYZF-R3やRC390が増えたことで、新しい風景が見られるようになったJP250クラス。しかし、これで前半戦は終了で、次戦は9月2~3日のオートポリス大会となります。
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JP250クラス
SUGO大会に続いて総合で2連勝、国内ライセンスクラスでは3戦全勝となった荻原選手
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