バイク用チェーンのメンテナンス方法からおすすめまで全て解説します!

バイクのメカやメンテナンスの基本を振り返るシリーズ。今回は『ドライブチェーン編』です。 エンジンの駆動力を後輪に伝える重要パーツだけに、劣化すれば走行性能ダウンは避けられません。 今回はそんなチェーンの選び方やメンテナンスの方法を詳しく解説します。

目次

まずはドライブチェーンの構造や種類など、チェーンを選ぶのに必要な知識をおさらいしましょう。
意外と知らずに買っていたなんて情報もあるかもしれませんよ!

ドライブチェーンの構造

バイク用のドライブチェーンは6種類か5種類の部品によって構成されています。

ピン:プレート同士をつなぐ役割と、各リンクが屈曲する際の軸にもなる。
ブッシュ:ピンの軸受けに当たる部品。
外プレート・内プレート:エンジンからの出力を後輪に伝えるため、ピン同士で繋がっている。
ローラー:前後のスプロケットと直接噛合いながら回転する部品。
グリース:ピンとブッシュの摩耗を抑え、屈曲運動がスムーズになるための潤滑材。
シール:ピンとブッシュの間に封入されたグリースの流出防止と、外部からの異物侵入を防ぐ。*

シールを使用しているモノをシールチェーン。使用していないモノをノンシールチェーンと呼びます。

バイク用チェーンの種類

バイク用のチェーンにはシールチェンとノンシールチェーンの2種類があります。
それぞれの特徴メリット・デメリットを解説します。

シールチェーンの特徴とメリット・デメリット

シールチェーンはピンとブッシュの間にグリースを封入し、強度と耐久度が向上したチェーンです。
チェーンの伸び率が低く長寿命で調整頻度も少なくすむので、現在多くの市販車で採用されています。
デメリットとしては、ノンシールチェーンよりも重量が重く、価格も6,000円台~と高価です。

シールチェーンのメリット:高強度、長寿命、メンテサイクル減
シールチェーンのデメリット:重量が重い、高価

ノンシールチェーンの特徴とメリット・デメリット

シールチェーン登場以前はすべてのバイクで使用していたため、標準チェーンとも呼ばれます。
グリースを封入せずシールも使用しない分軽量で、フリクションロスが少ないというメリットがあるため、レース用のチェーンにも使用されます。
また、パワーが小さい小型のバイクにも使用されることが多く、価格も1,000円台~と安価に入手できます。
デメリットはシールチェーンよりも伸びやすいため調整の頻度が多くなり、寿命も短くなります。

ノンシールチェーンのメリット:軽量、低フリクションロス、安価
ノンシールチェーンのデメリット:短寿命、メンテサイクル増

バイク用チェーンの選び方

バイク用のチェーンを選ぶ際は、事前に下記の3つのポイントを確認しましょう。
このうち一個でも合っていないと使用できない場合があります。

・チェーンのサイズとリンク数(コマ数)
・メーカー適合情報
・チェーンの使用用途と指定排気量

チェーンのサイズとリンク数(コマ数)を確認しよう

まず自分のバイクのチェーンサイズとリンク数を確認しましょう。
オーナーズマニュアル、サービスマニュアル、装着しているチェーンの刻印などで確認できます。

バイクのチェーンサイズは特殊なケースを除き、下記のいずれかに該当します。
-----------------------------------
415/420/428/520/525/530(50)/532/630
-----------------------------------

この3桁の数字の最初の1桁は『ピンの間のピッチ』を、残りの2桁は『チェーンの幅(ローラーリンクの内幅)』をインチ表記したものです。

例えば『520』サイズは下記のサイズを表しています。
最初の“5”=5/8インチ(15.875mm)
残りの“20”=2.0/8インチ(6.35mm)

文字にすると分かりにくいですが、自分のバイクのチェーンの3桁のサイズが分かればOKです。

チェーンの長さはピン1本を1L(リンク)としたリンク数(コマ数)でカウントされ“110L”のように表記されます。

販売時も100Lや120Lなどの単位(長さ)で販売されているので、自分の車両と同じリンク数を選びます。
また、同じリンク数がない場合には長めのチェーンをカットして使用します。

チェーンの長さはスプロケットの丁数(刃数)によって変わるため、車両を中古で購入した場合は純正丁数から変更されていないか注意が必要です。

メーカーの適合情報も必ず確認しよう!

チェーンのサイズとリンク数が合っていても、すべてのチェーンが使用できるとは限らないので注意が必要です。

チェーンサイズで表す部分の寸法は同じでも、それ以外の部分の寸法が製品ごとに若干異なるため、モノによっては車体側に干渉してしまう場合があります。

チェーンメーカーではそうしたトラブルを避けるために車種ごとの適合情報をカタログやHPで提供しているので、購入前に確認するようにしましょう。

※RKチェーンの適合情報ページ

チェーンの指定排気量と使用用途が合っているかを確認しよう。

チェーンには指定排気量という項目があり、これはそのチェーンに適切な車両の排気量を表したものです。
指定排気量を超えたバイクへの装着は危険なので、くれぐれも注意しましょう。

また、チェーンは同じサイズでも用途に合わせ様々な製品があります。
普段街乗りしかしないのに、レース向きのチェーンを選ぶのはオーバースペックですしコスパの面でもアンマッチになってしまいます。

指定排気量や使用用途はメーカーHPの商品情報や適合表で確認できるので、購入前にチェックしましょう。

※チェーンは車両に合わせて適切にチョイスしよう。

バイクのチェーンの交換時期や目安は?

チェーンを交換するタイミングですが下記が基準になる目安です。

▼交換の目安となる走行距離
シールチェーン:15,000km~20,000km
ノンシールチェーン:5,000km~10,000km

走行距離はあくまで目安になります。
下記のような症状が出ている場合は、走行距離が短くても交換することをおすすめします。

▼チェーンを交換したほうがよい症状
チェーンの張りを調整するアジャスターに余裕がない→伸びすぎ
カシメピンが緩い・ガタついている
チェーンの一部が波打っている→固着している
シールリングが劣化して切れている
錆びが酷く腐食している

バイクのチェーンのメンテナンス方法

続いてチェーンのメンテナンス方法を解説します。
日頃からこまめにメンテナンスすることで、チェーンの劣化を防ぎ長持ちさせることが出来ますよ。

日常のメンテナンスの基本は清掃・注油・張りの調整!

日常のチェーンメンテナンスで特に意識したいのが清掃と注油です。
特に雨の日に走ると、泥などの汚れが付きやすくオイルが流れてしまうので、走行後にメンテナンスしたいタイミングです。

▼チェーンの清掃と給油に必要な道具
・チェーンクリーナー
・チェーンルブ(チェーン専用オイル)
・清掃用ブラシ
・ウエス
・軍手
・チェーンカバーを外す工具
・センタースタンドがないはメンテナンススタンド

最初はチェーンクリーナーとチェーンルブ、ブラシなどがセットになったメンテナンスキットを買うと便利ですよ。

チェーンの張りも定期的にチェックして調整しよう

チェーンは徐々に伸びるので、定期的に張り具合を調整する必要があります。
調整せずそのまま乗っていると、最悪チェーンが外れるなんてトラブルに繋がるので注意しましょう。

また、チェーンの張りには適度に遊びが必要です。
遊びの幅はオンロードバイクで2~3cm、オフロードバイクで3~4cm程度が適切で、それ以上遊びが少なくても、多くてもトラブルに繋がります。
とくに遊びが短い場合にはチェーンが異常摩耗したり、走行中に断裂する可能性もあります。

チェーンの張り具合の点検方法

チェーンの張りを点検するには下記の手順を参考にしてください。

​地面が平らな場所に停止し、エンジンを切る。
走行後はチェーンも熱くなるのですぐに触らないようにする

ギアをニュートラルに入れ、センタースタンドかメンテナンススタンドで車体を立てる。

チェーンの遊びを測定する位置(前後スプロケットの中間のチェーン下側)で、チェーンを上下に動かし振れ幅を測定し適正値内か確認する。
遊びの適正値はサービスマニュアルや車体に貼られたステッカーで指定されています。

リアホイールを回転させ、チェーンの他の箇所でも同様にチェックする。

以上の作業を行い、チェーンの遊びが基準値から外れているようであれば、張り具合を調整する必要があります。

チェーンの張りの調整方法

チェーンの張りを調整するアジャスターには何種類かありますが、基本的な作業工程は共通です。

アクスルシャフトのナットを緩める。
アジャスターのロックナットを緩める
アジャストナットを左右均等に回しチェーンの張りを調整する
アジャスターのロックナットを締め直して固定する
アクスルシャフトのナットを締め直す
チェーンラインが真っ直ぐ一直線になっているか確認する。

アジャストナットの調整は左右均等にしないと、チェーンがねじれて走行に支障をきたします。自信の車両のサービスマニュアルも確認しつつ正しく行うようにしましょう。

バイク用チェーンのおすすめ国内メーカー3社!

続いてバイク用チェーンのおすすめメーカーをご紹介します。
チェーン選びに迷ったら、この3社の製品から選べば間違いありませんよ!

D.I.D(大同工業株式会社)

大同工業株式会社は石川県に本社を置くチェーンメーカーです。
バイク用チェーンにD.I.Dブランドを展開しており、MotoGPやモトクロスのトップライダーを数多くサポートしています。
レースで培った技術はストリート用チェーンの開発にもフィードバックされており、高耐久でレスポンシブなチェーンを販売しています。

EKチェーン(株式会社 江沼チヱン製作所)

EKチェーンブランドを展開する江沼チヱン製作所は、1974年に世界で初めてシールチェーンを開発し、チェーンの寿命に革命を起こしたパイオニアです。
また、2009年には鍛造加工プレートを採用した『ThreeD(スリード)シリーズ』を開発するなど、高い技術力に裏付けられた製品を販売しています。

RKチェーン(アールケー・ジャパン株式会社)

アールケー・ジャパン株式会社は埼玉県に本社を置くチェーンメーカーです。
数々のレースで歴史を作ってきた実績はもちろん。国内はもとより世界のオートバイ車両メーカーに 純正採用されるなど、その品質と確かなものづくりでメイドインジャパンの名声を高めています。

バイク用チェーンの購入と交換はナップスへ!

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